法事では読経をあげた後に、会食（お斎）が振る舞われる事が一般的です。
締めくくりに行われる食事ですが、それもまた故人を偲ぶ儀式の一部ですから、気をつけなければいけない点がいくつもあります。
具体的にどのような注意点があるのかを見ていきましょう。
法事後の会食（お斎）とは
法事では焼香や読経を行い、施主による挨拶の後に行われるのが会食（お斎）です。
お斎は法事で読経をした僧侶及び参列者への感謝をするために、施主がふるまう食事です。
そうして皆が一緒に食事をすることで、故人を偲ぶ時間を設けるという役割もあります。
お斎という呼び方をするのは、仏教において行われる斎食（さいじき）という風習が由来です。
仏事をする前に、身を清めるため午後の食事を控えるのですが、そのために正午など決まった時間に僧侶たちが集まって食事をすることです。
その言葉が転じて身を清めるための食事をお斎と呼ぶようになり、それが一般の人たちが行う法事で用いられるようになり今日まで続いています。
初七日から1周忌までは一般の参列者にも振る舞い、三回忌以降になると遺族及び親族など故人と親しかった人だけで行います。
料理内容は何を選べばよいのか
法事の締めくくりに行われる会食（お斎）ですが、料理の内容は四十九日を境に変わります。
四十九日の法要があけるまで仏教では殺生を禁じられていることから肉・野菜を使った料理は避けなければいけません。
ですから、野菜の天麩羅や豆腐などいわゆる精進料理が振る舞われます。
そして四十九日法要以降は、普通のパーティーでも提供されるような仕出し料理や会席料理・懐石料理になります。
ただし、慶事に使う松竹梅をあしらった飾り付けや縁起物の鯛、伊勢海老などは禁忌として外されます。それを踏まえた料理の内容はやはり仏事ということもあって、和食が中心で寿司やお刺身、天ぷら、炊き合せなどです。
仕出し料理を受け付けている業者や料亭などに頼めば、法事にふさわしい内容を用意してくれますから、あまり心配はありません。
施主は高齢者や子供でも食べやすい料理であるか、アレルゲンが入っていないかなどを確認してください。
法事後の会食の注意点 席順の決まり
法事後の会食（お斎）では、席順にも守るべきルールがあります。
会場にいる人の中で、上座に座るべきは僧侶です。
上座は座敷であれば床の間に近い場所、レストランならば出口から一番遠い場所になります。
そしてそれに続いて、施主それから親族の中で年長者、一般の参列者、親族、最後に遺族です。
一般の参列者については、社会的な地位が高い人から上座に座ってもらいます。
つまり会社の社長や議員などを上座にすれば問題ありません。すでに故人が参加していたサークルや近所の住民など社会的地位に関係のない付き合いであれば、年長者から上座に座ってもらいましょう。
なお僧侶は必ずしも会食に参加するとは限りません。
ですから、事前に出欠を確認しておき、もし欠席をするのであればその分をお布施として渡す決まりです。
法事後の会食の注意点 服装にもご配慮を
法事となれば基本的に三回忌までは喪服で、七回忌からは平服です。
法事が終わった後の会食も、流れで参加しますからそのままの服装になるのが普通です。
読経も終わりあとは皆が自由に話をしながら食事をする場ですから、それほど堅苦しい雰囲気ではありません。
施主が平服で参加しても良いといえば、着替えてからの食事もできます。
着替えができる場所や時間が用意されていなかったとしても、上着を脱いだりネクタイを外したりするなど多少の着崩しは許されます。
ただし、格式のある料亭などであれば、場にふさわしい服装が求められるので、そういうときはあまりラフな格好はできません。
それから、年長者が着崩すことなく服装を整えているのであれば、周りの人間もそれにならうのがマナーです。
おわりに
法事は僧侶や参列者に感謝をして、故人を偲ぶために行われます。
四十九日までは精進料理を、それ以降は肉・魚も使った料理が振る舞われます。
席次は僧侶を上座にして、それから社会的地位の高い人そして年長者から順番に座ってもらいます。
服装は法事と同じものですが、施主が許せば着替えることもできます。
そうでなくても着崩すくらいはできますが、状況を見て判断する事が必要です。
